中国の影響で2ヶ月前の水準に戻ったイーサリアム

2ヶ月間下がり続けているイーサリアムとその背景

仮想通貨上位100のうち98種類のアルトコインが大幅に価格を落とす中、イーサリアムも引きずられるように下落、二か月前の低水準に戻ってしまった。

Etheruemの価格は、第3段階目のアップデート(Metropolis)が9月後半に行われる予定であるため、市場が上昇傾向を続けるか、少なくとも安定していれば常に高値になるというのが大方の見方であったが、予想は裏切られる形となった。

まず9月に入り、ビットコインの5,000ドル(約55万円)が利益確定ラインとみた市場参加者の売りにより、連動してイーサリアムの価格は390ドル(約43,000円)から350ドル(約38,000円)に下がった。

その後ビットコインが再度5000ドル(約55万円)を目指そうとする前、中国人民銀行(PBoC)がICO禁止を発表し(9/4)、マーケット全体がさらに暴落。イーサリアムはこれに連動し、300ドル(約33,000円)を一時割るが、そこを底値とみて買いも入り、330ドル(約36,000円)まで急速に回復した。

その数日後の9月8日、中国メディアの財新が「PBOCは今後ビットコイン取引所を閉鎖する」というニュースを突然報道。

仮想通貨業界のリーダー達が一斉にツイートするなど多くの波紋を呼び、ビットコイン価格はさらに10%ほど下落をすることとなった。これにより、イーサリアムの価格は再び下落、290ドル(約32,000円)まで下落。

その後、中国の三大取引所であるBTCC、OKCoin、Huobiはこぞって政府から禁止の通知を受け取った事実はないと公表し、市場は再び上昇し始め、9月12日、310ドル(約34,000円)を超えた。

しかしその日の午後にはライトコイン開発者Charlie Lee(チャーリー・リー氏)やBitcoin Foundation Executive DirectorのBruce Fenton(ブルース・フェントン氏)らが、「中国は間違いなくビットコイン取引所を禁止するはずだ」とツイート。市場は混乱を深めている。

現在ビットコインの価格は3,800ドル(約42万円)近くに下がり、これは8月以来の最低値。

イーサリアムは265ドル(約29,000円)まで下落。2カ月ぶりの安値となり、時価総額は約250億ドル(2.7兆円)に減少している。

ちなみに中国のICOや取引所規制は、中国の取引所だけでなくアメリカやヨーロッパの取引所にも均等に影響を与えており、「ETH/USD」や「ETH/EUR」、および「ETH/CNY」はすべて261ドル(約28,800円)~256ドル(約28,300)の間で取引されている。そんな中、韓国の取引所であるBithumbやCoinoneが扱う「ETH/KRW」は10ドルも多い275ドル(約3万円)で取引されている。

原典:「Ethereum Price Plunges to Two-Month Low as Market Turns Sour

ここまでのまとめと考察

今回はイーサリアムの価格を中心に見てきましたが、仮想通貨の中心はなんといってもビットコイン。

ビットコインの価格が上昇すればアルトコインの価格も総じて上昇し、下落すれば基本的には下落します。

アルトコインの中で時価総額トップに位置するイーサリアムも例にもれず、ビットコインの世界とつながって生きるコインであることが改めて再認識できた出来事となりました。

特に現在のビットコイン価格の暴落は、中国政府のICO禁止に端を発したビットコイン取引の全面禁止への不安から、中国国内のマイナーを含めたビットコインホルダーたちの投げ売りによって引き起こされています。

一方で中国大手メディア財新の「ICOだけでなく、今後ビットコイン取引自体が中国では全面的に禁止になる」とのセンセーショナルな発表の信憑性については、まだまだ確証を得られていないのが現実のようで、取引所が現在も問題なく運営できていることからも、このメッセージに対しての見方は専門家の中では割れているようです。

ただ大事なのは、この真偽が曖昧な報道によって、ビットコインを中心とした仮想通貨マーケットが大打撃を受け暴落したという現実です。

ビットコイン投資家やアルトコイン投資家は今度もこのような事態が起きるということは念頭に入れておく必要がありますね。「噂で買って事実で売る」という言葉が相場では使われますが、ビットコインは極端にこの動きが現れます。

今まで何度も不安定になりながらも、結果的に上昇を続けてきたビットコインの過去をみれば、杞憂に過ぎないととらえることもできますが、いささか楽観的なのでしょうか。

引き続きマーケットを見守っていきましょう。