イーサリアムの価格が7月で35%も下落

8月1日のビットコイン分裂騒動によってビットコインの価格は大きく変動していた7月ですが、実はイーサリアムも7月に大きな変動をしていました。

時価総額第2位を誇るイーサリアムは、4度にわたるハッキング攻撃によって7月でなんと30%以上も価格が下落しました。Bitfinexによると、30日(日曜日)の時点ですでに1ETH=197ドル(約2万円)にまで下落しており、少し前まで200億円以上あった時価総額も180億円にまで下がってしまいました。

イーサリアムを取り扱っているいくつかの取引所では一時1ETH=160ドルを記録し、7月は大きな混乱を招きました。RSIというチャートを分析するテクニカル指標や確率性のあるインディケータを使用してもやはり低迷したラインを示していました。

ちなみに最近の下落があっても、今年でイーサリアムは2,200%以上も増加しているようです。

取引所などの市場を狙ったサイバー攻撃

イーサリアムは現在、7月前半から始まった大きいスケールでのサイバー攻撃の対処に追われており、既に膨大な額に相当するイーサリアムが盗まれています。

例えばブロックチェーンを基本としたプラットフォーム「Coindash」では、ICOの期間中にハッカーたちにジャックされてしまいました。これはCoindashにあったビットコインアドレスが一斉に流出し、結果として約7億円もの被害があったという。

米証券取引等監視委員会(SEC)はそれでも尚続くイーサリアムでのICOに問題があるのでは?と懐疑的になっています。先週のある発表によると、昨年で売られた膨大な量のトークンたちは、そのほとんどがルールや法律を無視したものだったと言われています。

ICOはよく不特定多数に業務を委託する「クラウドソーシング」と比較されますが、SECはいくつかのトークンのプレセールは実際厳重なセキュリティの中行われていたとも述べています。

ある分析家によると、今後どのように監査員が仮想通貨市場を監視していくかが不透明にはなっているものの、SECが定めたルールはICOの将来に大きな影響を与えるだろうとしています。

原典:「Ethereum Prices on Track for 35% Monthly Drop

ここまでの内容と考察

一時は1ETH=389ドル(約4万円相当)もの価格がついていたイーサリアムも、連日のハッキングによって信用を徐々に失い、現在は1ETH=190ドル約(2万円)を推移している。

まず7月4日に韓国の大手取引所「Bithumb」でのハッキング。こちらはビットコインとイーサリアム合わせて100万ドル(約1億円以上)も盗まれており、サイバー攻撃からユーザーの個人情報が洩れ、そこからハッキングされたとされている。

次は17日の「CoinDash」というトークンのICOでのハッキング。このハッキングでは募った約700万ドル(約7億8,000万円)ものイーサリアムが全く関係のないアドレスに送金されており、全てそれがハッカーの手に渡ってしまった。

さらに3日後の20日には、イーサリアムが管理できるウォレットソフト「Parity Wallet」でのハッキングが起きた。ウォレットのシステムに脆弱性があり、そこを突かれて約3,000万ドル(約34億円)ものイーサリアムが盗まれた。

そして最後は24日に起きた、「Veritaseum」という金融プラットフォーム上で行われていたICOでハッキング。こちらも17日で起きた「CoinDash」でのハッキングと手口が似ており、840万ドル(約9億4,000万円)ものイーサリアムが盗まれたという。

7月にあったハッキングだけでもなんと50億円以上も盗まれており、イーサリアムの信用度は大きく下落している。とはいえ、イーサリアムのシステム自体のハッキングではなく、イーサリアムが関連していただけである。

そんな中でも時価総額3位のリップルに追い抜かれることもなく、依然として2位のポジションは守れていることを考えると、やはり今後また大きく価値が回復してくるのではないかと言える。

少し前に言われていた「2018年末にはビットコインを追い抜く」もあながち間違っていないのかもしれない。短期的に見れば今はやや下落しているが、長期的にみれば上昇傾向になるので、筆者はいずれまた1ETH=400ドルまで回復すると予想している。