元バークレイズのCEO:Fintechを活用しなければ銀行は消滅する

銀行が生き抜くためにはFintechが不可欠?

アメリカのメガバンク「Barclays(バークレイズ)」の元最高責任者であったAnthony Jenkins(アンソニー・ジェンキンス)氏は、Fintechの流れについていかなければ銀行の存在意義はなくなると述べています。

2015年にバークレイズから退去されたJenkins氏は、翌年2016年に「10X Future Technologies」を設立しており、また今後10年で銀行スタッフ、および支店数が50%減少するだろうとも述べています。

コダック・モーメントが再び

jenkins氏によれば、銀行業界においても「銀行」と「顧客」の関係性がなくなる「コダック・モーメント(Kodak Moment)」のようなものが起こる可能性があると言われています。

ちなみにコダック・モーメントとは元々「保存して何度も堪能できる写真が撮れるシャッターチャンス」という意味で、1880年に創立された「イーストマン・コダック」という写真用品メーカーからきている言葉です。

イーストマン・コダックは携帯電話をはじめとするデジタル社会の普及とともに破綻してしまい、現在「コダック・モーメント」というのは「商品」と「顧客」が無関係になってしまう現象のことを言います。

Jenkins氏は銀行がコダック・モーメントを避けるためには根本的に何かを変えていく必要があると述べ、ビットコインや人工知能のような暗号技術は、銀行業界にとって新しい革新の始まりにすぎないとしています。

Fintechは本来破壊的であるべき

2015年にロンドン国際問題研究所(Royal Institute of International Affairs)のチャタム・ハウス演説で、「Fintech部門は顧客の経験を劇的に改善するような破壊的なものであるべきだ」とJenkins氏は述べました。

またFintechを用いた銀行は、従来の銀行システムによって顧客が得ている経験を「10倍」にしなければならないとも述べています。

しかし実はFintech企業側もそこまで技術的に進歩しているわけではなく、実際は伝統的な従来の銀行システムを利用している銀行が多いとも述べています。

元UBSオフィサーが重要視するもの

UBSの元CIO(最高情報責任者)であったOliver Bussmann(オリバー・ブスマン)氏は

「ブロックチェーン技術は仲介業者のニーズを排除しながら財政システムを変えてきている」

と述べており、ビットコインのような「非中央集権」こそが新しいビジネスモデルであるとも述べています。実際に1つの兆候として既に、新興企業は資金保護をするためにも仮想通貨を使っており、これを支払い手段として利用しているという。

Jenkins氏とBussmann氏はブロックチェーンによって第3者が財務を管理し、不正や改ざんをなくしたオープンなバンキングプラットフォーム作りを推奨しています。

欧州連合(EU)の新しい規制によって2018年に「改訂版決済サービス指令(PSD2)が発行されます。

これは「決済口座に対して支払い指示を行うサービス」のことをいい、例えば顧客とウェブサイトのバンキングシステムを繋ぐことによって、ネット上で簡単に口座振替が行えるサービスです。

一方、Amazon(アマゾン)のような企業が決済サービスプロバイダーにとっては収益が減る結果になってしまうかもしれないとの見解もあるようです。

原典:「Banks Will Disappear Unless They Harness Fintech: Former Barclays CEO

ここまでの内容と見解

今回のニュースは今後の銀行の在り方を捉えた内容でした。

元バークレイズのCEO、Jenkins氏が述べているようにブロックチェーンをはじめとするFintechの技術は今後世界を大きく変える可能性があります。

特に銀行業や仲介業はFintech技術の導入によって大きなダメージを受けると予想されており、本記事にもあったように存在意義がなくなる可能性すらあるのです。

Fintech技術の導入によって5年後、10年後に世界がどうなっているのか注目しておきましょう!