Maidsafeエヴァンジェリスト・Dacsee創設者が語る「世界を幸せにするチャンスを与えるテクノロジー」
- 2018/6/1
- 独占インタビュー

Maidsafeエヴァンジェリスト・Dacsee共同創設者として知られているEric Tan (エリック・タン)氏に仮想通貨ニュース.comが独占インタビューしました!
金融、物流、また医療など様々な使い道があるといわれているブロックチェーン技術。
第四次産業革命で「最も重要なテクノロジー」とさえ言われています。
そんなブロックチェーン技術ですが、そもそもなんで必要なんでしょうか?
ブロックチェーン技術が社会に普及していない今でも問題なく暮らせている人は沢山いるように思えます。
それなのにもかかわらず、なぜブロックチェーン技術は世界で大注目されているのでしょうか?
ブロックチェーン技術を使うと、実際にどのような問題を解決できるのでしょうか?
そこで今回編集部は、「Dacsee(ダックシー)」プロジェクトのCEOであるタン氏に独占インタビューしました!
Dacseeは、Uberなどの西洋の大企業が市場を独占しているRide Sharing(ライド・シェアリング)・タクシー業界に現存する深刻な問題を、ブロックチェーン技術を使って解決しようとしているプロジェクト。
「あったらいい」プロジェクトではなく、「なければいけない」プロジェクトです。
そんなDacsee創設者のタン氏から聞いた、ブロックチェーン技術の可能性と彼の意気込み。
ありのままお届けします。
ーなぜ仮想通貨業界に入ろうと思いましたか?
仮想通貨業界に入ろうと思った一番の理由は、ブロックチェーン技術を使って現実世界に存在する深刻な問題を解消し、世の中をより幸せにしたかったからです。
全ての世代は、次の世代のために何かをする必要があると私は個人的に信じています。
今住んでいる世界をちょっとでもよくして、次の世代に受け継ぐということ。
問題を語るだけなら誰でもできる。
なので、私は以前から世の中にある問題を実際に解決したいと思っていました。
そこで3年くらい前に耳にしたのがブロックチェーン。
この技術はIT業界を長年経験した私にとって、とても納得できるようなテクノロジーでした。
私はIT業界でシステム設計やシステムアーキテクトを経験し、政府や企業の下20年以上働いてきました。
この経験で確信したことは、テクノロジーの進展と社会の発展はシンクロしているということ。
ここ数十年で世の中は大きく変化し、特に人々がコミュニケーションをとる方法は大きく変わりましたよね。
FAXの時代があったと思えば、すぐにインターネットやeメールが始まり、その後スマートフォンが普及。
このような流れがあって、今はブロックチェーン技術を使用した「非中央集権型のシステム」が流行しています。
まだ手を出せていない企業も多いですが、このテクノロジーの進化を避けて生き残ることはできないでしょう。
また、歴史的に考えても、テクノロジーの発展はいつも人々の生活に大きく貢献しています。
そこでブロックチェーンという新しいテクノロジーを使って、人々が幸せになれるようなプラットフォームを開発することに力を注ぎたいなと思うようになりました。
これが、私がこの業界に入ろうと思った一番の理由です。
ちなみに私だけでなく、仮想通貨・ブロックチェーン業界にいる多くの人間はこの新しいテクノロジーを使って、世界に存在する深刻な問題に立ち向かっています。
ーブロックチェーン技術を使って、実際にどうやって問題を解決することができるか教えて下さい。
実際にあるブロックチェーンのユースケース(使い道)をちょっと紹介しますね。
例えば、現在の「農業」業界。
農家の人達は人々に食べ物を与えるためにたくさんの労力を使います。
しかし、世間の人は農業という仕事に興味がないですよね。
農家を「カッコイイ」なんて思う人は少ないでしょう。
また、特にマレーシアのような国は、とても暑い上に、雨が降るとすぐ洪水になり、作物の収穫が気候に左右されるなんてこともあります。
つまり、作物を育てるには熱い中長時間働く必要があるうえ、収穫高は気候など農家がコントロールできないことにも大きな影響を受けるということ。
それでも、農家がしっかりと利益を上げることができればいいのですが、そうは簡単にいきません。
なぜなら現在の農産物の流通では、卸売業者が一番利益が出るような仕組みになっているから。
品質のいい作物ができても、農家は卸売業者を通さなければなりません。
そのため、卸売業者のような「仲介者」が多額の手数料を巻き上げている現在の仕組み上では、農家が利益をあげることはできないんです。
作物を作るのが大変な上に、利益も上げることができなければ、若い世代が農業をやりたくないと思う気持ちも理解できますね。
つまり農家が収益を上げやすい仕組みを作らなければ、将来的にはさらに農家が減る。
今のように世界の人口が増え続け、農家が減少し続けると、大きな問題が生まれるのは誰でもわかります。
食料を巡る戦争だって起こるかもしれません。
ブロックチェーン技術を使うと、このような現実にある問題に対する「本質をついた解決策」を提供することができます。
ちなみに今話した農家の例での「本質的な問題」は、卸売業者が手数料を取り過ぎているということではないですよ。
本質的な問題は、そもそも「卸売業者などが存在するような仕組み」が出来上がってしまっているということ。
この問題が解決されない限り、一向に農産の物流は改善されないでしょう。
ちなみに、このような問題は農業業界に限った問題ではありません。
ほとんどの業界では「仲介者」と呼ばれる機関が絶対に存在します。
また、その多くが多額の手数料を取れるような仕組みになってしまっています。
もしブロックチェーン技術を使用すれば、従来のインフラで仲介者がやっている仕事のほとんどをソフトウェアが自動的にやってくれるでしょう。
もちろん仲介者はこの新しいテクノロジーに反発するでしょうが、仲介者がいなくなれば、今まで仲介者が得ていた手数料分の利益を農家があげることができるかもしれません。
すると、農業を始めたいと思う人も増加し、業界も活性化されるでしょう。
そうすれば農家は新たな農業関連の機会を購入することができ、市場に出回る作物の品質が向上。
そして消費者も、さらに低コストで食べ物を購入することができるようになりますね。
このようにブロックチェーン技術は現存する大きな問題を解決でき、不平等な従来のインフラを大きく改善することができるんです。
私はこのように日常的に人々が苦しむ問題を解決できるテクノロジーにはとても価値があると思います。
もちろん新しい車の製品やロケット開発も重要ですが、社会に根付く大きな問題を解決できるにはとても意義のあること。
こういった理由から、私はブロックチェーン技術には大きな可能性があると思っています。
ーブロックチェーン技術には肯定的で、仮想通貨には否定的な人も多いですが、最近普及し始めた仮想通貨についてどう思いますか?
仮想通貨はまだ始まったばかり。
5、6年くらい前にビットコインが初めて「仮想通貨」や「ブロックチェーン技術」のコンセプトを広く普及させましたよね。
ビットコインは、従来の金融や銀行の仕組みを大きく変えるような新たな金融の仕組みが築けることを世間に証明しました。
100年以上続いている現在の金融の仕組みが変わるのは当たり前のことかもしれませんが、これには歴史的な意味があります。
ビットコインは最近、送金時間・手数料に関して批判されていますが、海外送金においては従来の仕組みよりも断然便利で、実際にも人々の生活を改善しています。
例えば、従来の金融の仕組みでは、シンガポールからカナダへ送金をするのに5日くらいかかりますよね。
これはとっても不便。
何かが変わらなくてはなりません。
そこでビットコインの創設者は、従来の金融の仕組みとは大きくことなる、人々にとってより便利で公平な分散型の仕組みを作るため、「ビットコイン」というソフトウェアを開発しました。
しかし、ビットコインは「最初の一歩」。
もちろん私もビットコインが完璧な仮想通貨だとは思いません。
ビットコインはあくまでも、ブロックチェーン技術を使った仮想通貨第一号といったところでしょうか。
近い将来には、さらに機能が高い仮想通貨が増加するでしょう。
ー規制も心配される仮想通貨業界ですが、その辺をどう思われていますか?
多くの政府が仮想通貨を使用したマネーロンダリング(資金洗浄)の問題を真剣にとらえるようになったように思えます。
この問題は従来の金融の仕組みでも大きな問題でした。
しかし、政府は完全にそれを完全に止めることに成功したことがありません。
なぜなら、単純に「解決策」がなかったから。
例えば、友達にお金を手渡しするとしますよね。
この取引を政府は監視することができるでしょうか?
もちろんできませんね。
その額が1円だろうが、1億円だろうが、取引が行われたということを金融機関が監視することはできません。
そのため、マネーロンダリングにも使うことができます。
この問題は過去に解決できたことがありませんが、ブロックチェーン技術を使えばそれが変わるかもしれません。
なぜなら取引のすべてはブロックチェーン上に記録されるから。
そのため、今まで以上に取引を監視することが簡単になります。
よくビットコインはマネーロンダリング使われるなんて話を聞きますが、実際にはビットコインを使ってマネーロンダリングをなくすことも十分可能なんです。
平和な社会を築くためにも、犯罪目的にお金が送金されることを防がなければなりません。
私たちがこう話している間でも世界のどこかで内戦や戦争が起こっています。
人々は様々な理由で殺し合い、また誰かがそれをするための資金を提供しています。
多くの人がこれをどのようにしたら解決できるかと考えてきました。
ブロックチェーン技術は、このような深刻な問題を解決できるだけのポテンシャルがあります。
このテクノロジーがある今、それを使用しない理由はどこにもありません。
もし、ブロックチェーン技術が人間同士の殺し合いを解決できるということを考えると、この技術がいかに人類の歴史に影響するかがわかるでしょう。
ーすべての取引が監視されるなんて嫌だという人もいるかと思いますが、プライバシーの問題についてはどのようにお考えですか?
コインチェックは匿名通貨の上場廃止を決断しましたが、それについてはどのように思われますか?
個人的にはコインチェックの判断は正しかったと思いますよ。
日本の取引所が匿名通貨の上場廃止させていることはいいことです。
テクノロジーの多くはいわば「諸刃の剣」。
世の中を改善するためにも使えますが、悪用することももちろん可能です。
そのため、規制機関は真剣に新しいテクノロジーについて検討する必要があります。
もしそうしなければ、悪用する人が出てくるのも当たり前。
しかし、匿名通貨は難しい問題です。
もちろんプライバシーは重要ですが、悪用する人もいることを忘れてはいけません。
政府からすると匿名通貨は「山火事」のようでしょう。
最初はなんとか抑えられるかもしれませんが、ちょっと風が吹くと抑えるのが難しくなります。
そのため、規制機関はこのような難しい問題を先延ばしにせず、しっかりと検討するべきです。
ーここまでは、仮想通貨やブロックチェーンといったことについてお聞きしましたが、ここからはEricさんのことやプロジェクトについてお聞かせください。
EricさんはMaidsafeのエヴァンジェリストとして知られていますが、なぜ他のプロジェクトではなくMaidsafeを奨励するのでしょうか?
EOSやCardanoなどのプラットフォームを提供するプロジェクトを見ると、それぞれユニークな哲学を持って独自の「解決策」を提供していますよね。
そのため、プラットフォームを評価する際に、それぞれがどのように問題を解決しているかについて真剣に考える必要があります。
その上で、一番重要なことは、「解決策を提供する際に新しい問題を生み出していない」こと。
正しい解決策は、新たな問題を生み出しません。
私がよくいう「本質的な問題を解く」というのは、新たな問題を生まずに問題を解くということ。
ブロックチェーン技術は確かに革新的ですが、様々な問題があるのも事実です。
数多くあるプロジェクトの中、Maidsafeは現在のインターネットが抱えている本質的な問題を解決していると言えます。
ーでは、現在のインターネットにはどのような問題があるのでしょうか?
まず権力や収益中心にビジネス戦略を繰り出す大企業が、インターネット上で大きな力を持ちすぎているという問題があります。
例えば、「YouTube」。
誰もが知っているGoogleが提供する動画共有プラットフォームですね。
仮に、いま私がYouTubeを超えるような動画共有プラットフォームのアイデアが浮び、ビジネスを始めるとします。
しかし、マーケティングやインフラにかかるための資金を集めるのはとても大変。
いくらいいアイデアがあっても実際にYouTubeに対抗できるくらいの資金を集めるのはほぼ不可能でしょう。
従来のインターネットの仕組みでは、インフラやマーケティングに費用を賄える大企業にスタートアップは絶対に対抗できません。
また、大企業はライバルになる可能性があるスタートアップを買収することもできます。
スタートアップとしても、大企業が差し出す多額のお金を拒否することも難しいですよね。
しかし大企業は買収後、スタートアップが生み出したテクノロジーの開発を進めるとは限りません。
そのため、スタートアップが大企業に全く太刀打ちできないような状況が続くと、テクノロジーの進展が遅くなります。
これでは、いくらスタートアップがいいアイデアを持っていても、そのアイデアを世の中へ伝えるチャンスがないのと同じ事。
これでは世の中をよくするのは難しい。
現在のインターネットでは、このような資金面での問題もありますが、もっと深刻な問題が存在します。
それは、「ユーザーが大企業に個人情報を提供し、大企業はそれを好き使えることができる」ということ。
例えば「Facebook」。
ユーザーは個人情報や写真などをFacebookに提供していますね。
しかし、情報を提供してプラットフォームの価値を上げているユーザーには報酬が全くありません。
またこの情報は勝手に解析され、自由に使われています。
例えばGoogleでシンガポールのホテルを探すとしますよね。
その後Facebookを訪れたら、シンガポールのホテルの広告が表示されますよね。
これはGoogleがユーザーの行動を追跡している証拠。
Facebookに載せるあなたのデータは、勝手に分析されたり、売却されています。
このように大企業が顧客データの全てを管理するという現在の仕組みは問題なんです。
もし企業がハッキングされたら、多くの人の情報が一度に流出することになります。
実際にも、ヤフーメールで情報が流出しましたよね。
中央集権型のシステムではこのような問題が確実に起こります。
しかし、分散型のシステムを使用すれば、ハッキングされるような単一の中央集権型の機関が存在しません。
このように現在のインターネットには、スタートアップが大企業に対抗できないという問題や、大企業がユーザーデータの全てを管理しているという問題があります。
私がMaidsafeを応援する理由は、Maidsafeがこれらのような問題を本質的に解決しているから。
Maidsafeプロジェクトを一言でいうと、「分散化されたインターネットを作るプロジェクト」。
中央集権型の機関が存在しないインターネットを作ることで、大企業だけが大きな影響力を持つことができる現在の仕組みを抜本的に改善することができます。
最近では安心して安全にインターネットを使うのが難しいですよね。
インターネット上で自分のデータがどのように使用されているかわからないです。
80年代や90年代のような、インターネットを使っても誰も自分のデータを勝手に使ったり、検索履歴を監視していないような環境をMaidsafeは作りたいと思っています。
Maidsafeが提供する次世代のインターネットは、何も心配しなくていいようなインターネットなんです。
今回はここまで!
後編では、Eric氏が現在関わっている「Dacsee」というプロジェクトについてまとめています。
ブロックチェーン技術を使って、世界が抱える問題を解決へと導こうとしているEric氏の活躍に期待ですね!