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編集部のコラム:8月1日に何が起こるかわかりやすく解説!
- 2017/7/20
- 仮想通貨の最新ニュース
仮想通貨を少し知っている人ならよく聞くであろう「8月1日」。
8月1日に近づくにつれて様々な情報が飛び交っていますね。
今回は8月1日に起こると言われているビットコイン分裂問題について、わかりやーすく解説してみようと思います。
とその前に!
ビットコイン分裂問題において重要な用語を先に見ていきましょう。
●ハードフォーク
ハードフォークとは、今までとは違う新しいルールが適応されたブロックを採用することを言います。
新しいルールが適応されれば、従来のルールとは完全に別物になってしまうため、ハードフォークが行われると2つに分裂すると言われているのです。
2016年に「イーサリアム」から「イーサリアムクラシック」が分岐したのも、このハードフォークが実行されたからなんです。
●ソフトフォーク
ソフトフォークとは、ハードフォークとは反対に既存のブロックの仕様を変えないルールを採用することを言います。
新バージョンのアップデートは行いますが、従来のブロックの仕様と基本が同じなので、同じチェーン上のまま稼働することが出来るのです。
●BIP
BIPとは「Bitcoin Improvement Proposals(ビットコインの改善提案)」の略をいい、BIPにはそれぞれ数字が振ってあります。例えばBIP91でしたら、91番目に発案された改定案だということになります。
もちろん1つずつ全て内容が異なりますが、BIPはビットコインをより良くするためのアイディアなんだと捉えて頂ければ良いと思います。
では、本題の8月1日について見ていこうと思います。
まず何で分裂することになったの?
現在、時価総額第1位のビットコインは最初の仮想通貨として非常に人気があり、「仮想通貨」という言葉よりもむしろ「ビットコイン」を知っている人のほうが多いのではないでしょうか?
実はそんなビットコインにはたくさんの課題があるんです。
中でも早急に対処しなければならない課題なのが、「ビットコインのスケーラビリティ問題」です。
簡単に言うと、ブロックチェーンを基本的な仕組みとしているビットコインのブロックが急激な取引量の増加に対応できていないというのです。
ちなみに現在1ブロックで、約3,000トランザクション(取引量)が書き込めるようになっています。そして1日単位で見てみると、60万トランザクションの処理になっています。
この60万トランザクションが問題なのです。
ちなみに60万と言われてもピンとこないと思うのでクレジットカードを例に見てみますと、クレジットカードは1日5億トランザクション以上をこなすそうです。
5億ものトランザクションをこなすクレジットカードはかなり決済(承認)にかかる時間が少ないということになります。
考えてみればレストランやお店でクレジットカードを使って、「なかなか決済されない」なんてことはほとんどないですよね。
一方ビットコインは1日60万回しか処理できないので、世界中で取引処理の遅延・キャンセルが起こっているのです。これが、今ビットコインが抱えている最も大きな課題である「スケーラビリティ問題」の概要です。
この問題に対して
「こんなことじゃダメだ!」
と、立ち上がったのがビットコインの開発者たちでした。
ビットコイン開発者たちはこのスケーラビリティ問題を解決するために、8月1日に「Segwit(セグウィット)」を導入して、「UASF(ユーザーアクティベート・ソフトフォーク)」を行おうと予定していました。
●Segwitとは?
「Segwit」というのはブロックのサイズはそのままで、取引サイズだけを圧縮することによって取引処理速度を改善しようというものです。
これによって処理できるトランザクション数を増やして、よりスムーズに取引を行っていこうことですね。
●UASF(ユーザーアクティベート・ソフトフォーク)とは?
UASFというのはソフトフォーク・ハードフォークとは一味違うフォーク方法で、BIP148を前提としています。BIP148というのはマイナー達の支持率に関係なく、期日(8月1日)になれば新しい方式をアクティベートするというルールのようなものです。
しかしSegwitによってソフトフォークが実行されれば、取引処理速度が飛躍的に上がるのでビットコインユーザーはこれに大賛成しているのです。
ここまでの流れでは、良いことのように思えますよね?私たちビットコインユーザーにとっても良いことなので。
ではなぜ分裂する可能性が浮上してきたのでしょうか?
マイナー達の反発
ビットコインが分裂することになった要因は、Segwitの導入によって多くのマイナーが利用している「ASICBoost(アシックブースト)」が禁止されてしまうからになります。
「ASICBoost」というのはブロックチェーンのバグを利用したマイニングの特許技術のことをいい、マイニング速度を20%も早くさせる技術になります。
このASICBoostが禁止されると膨大な数のマイナー達が失業するとも言われているため、マイニング大国の中国をはじめとする世界中のマイナー達から猛反発を受けているのです。
特に世界の7割以上のマイニングマシンを製造しており、ASICBoostの特許も取得している「Bitmain」のCEOジハン・ウー氏はこれに猛反対。
このSegwit導入によるUASFに「意義あり!」と申し立てたのです。
Segwitを導入するUASFに猛反発のマイナー達は、だったらブロックサイズを大きくしたらいいじゃないか!ということで「UAHF(ユーザーアクティベート・ハードフォーク)」を推し始めました。
この一連の分裂騒動は、このUAHFが発案されたことによるものでした。
ちなみに大前提として、Segwitを導入するためにはマイナー達の95%以上の賛同を得る必要があります。このルールを「BIP141」といいます。
しかしこんなにも反発をしているマイナー達から95%もの同意を得るなんてほとんど不可能ですよね笑
そこで、新たに95%だった賛同率を80%にまで下げる「BIP91」というルールが発案されました。まあ、80%にまで引き下げたとしても賛同が得られそうにないですが…。
なんとかSegwitをしたいUASF支持派は、
「将来的にブロックサイズを大きくすることを約束するからとりあえず80%の同意はしてくれ!」
という政治的な合意を持ちかけたのです。
これを「ニューヨーク協定(NYA)」と言い、このNY協定によってできた新しい仕様が「Segwit2x」となります。
Segwit2xというのはSegwitによって取引サイズを圧縮すると同時に、ブロックサイズを2MBへと大きくしようというものです。最終的にブロックサイズはどんどん大きくなっていき、具体的に10月で8MB、2年後には16MBというサイズ変更を予定しているそうです。
会合に参加していたメンバーは満場一致で「ニューヨーク協定」に合意し、ひとまずSegwitに同意する形となりました。
ちょっと難しい用語がごろごろ出てきてしまって混乱してしまうと思いますので、ここで一旦まとめますと、
8月1日のビットコイン分裂問題は要するにこんなイメージになります。
かなり簡単に解説してきたのでざっくりになってしまいましたが、「8月1日の分裂問題はこういった経緯で始まったんだ」というのはわかっていただけるかと思います。
が!
7月18日に大きな動きがありました。
7月18日に急遽「BitcoinABC」なるものが出現したのです!
BitcoinABCというのは、強制的にソフトフォークを行ってしまうBIP148(マイナーの支持率に関係なく仕様変更するルール)への対策として、ジハン・ウー氏が提案したフォーク案になります。
このハードフォークによって新たに「Bitcoin Cash」というコインが誕生すると予定されており、公式サイトにフォーク実行日が記載されていることから、ほぼ100%実行されるものだと言われています。(※ちなみに日本時間で8月1日の21:20分)
このBitcoin Cashはブロックサイズを一気に8MBにまで大きくさせる仕様になっており、イーサリアムクラシックのように完全にチェーンを分岐させるハードフォークだそうです。
このBitcoin Cashは意外に評判が良く、このハードフォークを受けれるような意見が多い印象があります。
ここまでの流れをまとめると、8月1日にこのハードフォークが決行されれば、
ビットコイン開発者たち側の「BitcoinCore(BTC、もしくはXBT)」と
BitcoinABCの「Bitcoin Cash(BCC)」の2つに分裂すると言われています。
そしてそれぞれ同じ量に分裂するとも言われています。
どういうことかと言いますと、例えばあなたが10BTC持っていたとすると「5XBT」と「5BCC」に分裂されるのではなく、「10XBT」と「10BCC」といったように同じ量になると言われています。
現在すでにビットコインを持っている方は、分裂する前にご自身のウォレットに移動しておくことをおすすめします。
というのも「Bitflyer(ビットフライヤー)」や「coincheck(コインチェック)」といった取引所は、分裂後のどちらを取り扱うかわかりません。もちろん両方取り扱ってくれれば良いのですが、仮に「Bitcoin Core」しか扱わないとなると、もう一方の「Bitcoin Unlimited」は引き出せなくなる可能性があるのです。
【お知らせ】
2017年8月1日、ビットコインの分岐に関しご利用者様の資産を保護するため、Coincheckサービスにおけるビットコインの入出金、また決済機能を一時停止とする可能性がございますことをお知らせ致します。https://t.co/XQwK9enfsL— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) 2017年7月18日
ですので、分裂を迎える前に保有している分のビットコインは事前にウォレットに移しておくことが良いと思います。
結局どうなりそうなの?
7月21日にフォーク案の第1フェーズであるBIP91(マイナーの支持率80%が必要なルール)がロックインされる予定になっています。このロックインが予定通り行われれば24日にはBIP91がアクティベートされ、8月に導入するSegeit2xの下準備が整うことになります。
今後は不透明ですが、Segwit2xがアクティベートされればいずれはブロックサイズが2MBに変更されることになるので、ハードフォークが決行されることになります。
まあ8月1日にBitcoin Cashができるので確実に分岐はする予定ではありますが…。
ちなみにBitcoin Cashはビットコインの派生版というよりは、完全にアルトコインのような扱いになるようですね。
Bitcoin cashは、説明によればリプレイプロテクション付きで、現Bitcoinには影響はなく、勝手にフォークして出て行くだけ。ブランド名も別のアルトコイン。現ビットコインホルダーはフォーク時点でCashも貰える。何の問題もなさそうである。
— Tetsu UASF 大石哲之 (@tyk97) 2017年7月18日
今回は8月1日に起こるであろう問題をわかりやすさ重視で書いてみました。
やはりどうしても専門知識が入ってしまうので、ところどころ難しいところはあったかもしれませんが、全体の流れはこんなもんじゃないでしょうか。
8月1日に近づくにつれてまた新たな情報も入ってくると思いますので、また更新したいと思います~