SegWit2Xの中止が発表!ビットコインの今後について解説

中止が発表されたSegWit2X、今後どうなるのか?

10月頃からビットコインを賑わせていたSegWit2Xの中止が、11月9日に発表されました。

SegWit2Xへの期待もあり、11月に入ってからビットコイン価格が高騰し続けていましたが、今回の中止でアルトコインへ資金が流れています。

そんな中

「SegWit2Xってそもそも何?」

「SegWit2Xの後、どうなるの?」

と心配されている方が多いと思います。そこで今回は、仮想通貨ニュース.comの編集部がSegWit2Xとはそもそも何だったのか、SegWit2Xの後仮想通貨市場はどのような方向に進んでいくのかをご説明いたします!

ではまずはそもそもSegWitとは何かについて見ていきましょう!

そもそもセグウィットとは

まずSegWit2Xの説明をする前に、重要な関係性を持つSegWitについて説明していきます。

SegWitとは「スケーラビリティ問題」に対する一つの解決方法です。

スケーラビリティ問題とは、一言でいうと、ビットコインがスケールしていく(広く世界に普及していく)ことで発生する、取引量と取引スピードに関する問題です。

ビットコインの取引量が少なければ、問題なくシステムが機能するのですが、ビットコインの取引量が増加するにつれて、ビットコインのシステムが対処しきれなくなり取引スピードが遅くなってしまいます。

この問題のことをスケーラビリティ問題と言います。

現在、ビットコインの取引を記録するブロックのサイズは1MB と決まっており、スケーラビリティ問題に対処するためには、ブロックサイズを大きくするか取引データ量を小さくする必要があります。

この取引データ量を小さくする対策がSegWitなのです。

SegWitのイメージとしては、箱に六個しか入らない巨大スイカではなく、味のクオリティはそのままで巨大スイカをたくさんの小さいスイカに変えることをいいます。

そしてここまで前置きとしてご紹介してきたSegWitの別の案として出てきたのがSegWit2Xなのです。

前置きが長くなってしまいましたが、ここから本題のSegWit2Xについてご説明していきます!

SegWit2Xとは

SegWit2XはそれまでのSegWitで行われている機能にプラスして、ブロックサイズのサイズを1MBから2MBにサイズ拡張することを指します。

ビットコインにSegWit2Xすることでを使用し、ブロックサイズを現在の1MBから2MBに引き上げることで、より多くの取引を行うことが可能になのです。

これまでの説明だと

「なぜこんなに様々な専門家や投資家がSegWit2Xについて議論している意味が分からない」

「SegWit2Xはビットコインが持つブロックサイズ問題を解決できる良いことなんじゃないの?」

と感じる人が多いかと思います。

しかしSegWit2Xでは簡単にはいかない問題を抱えているのです。そのSegWit2Xの問題を説明していきます。

全員の合意の上でのアップデートではない

上記で説明した通り、SegWit2Xではブロックのサイズを変えることで1MBから2MBの大きいチェーンに代え、従来の小さいブロックから大きいブロックに変更します。

それによって、SegWit2Xによってブロックをつなぐチェ―ンも新しいSegWit2Xチェーンに全て切り替わります。

このある地点からシステムを新しくすることを「ハードウォーク」といいSegWit2Xもハードフォークが行われます。

SegWit2Xのようなアップデートは全員の合意であれば全然問題はないのです。

しかし、今回のケースでは、SegWit2Xを支持する賛成者とSegWit2Xに反対するビットコインコア(ビットコイン開発者たち)の対立が問題になっています。

このような状況で、SegWit2Xのハードフォークを行うとビットコイン市場が混乱ししてしまう可能性があったのです。

リプレイアタック問題

合意形成の問題に加えて、リプレイアタック対策が行われていないということでSegWit2Xは問題となっていました。

リプレイアタックとは
ハードフォークによってブロックチェーンが複数の枝に分岐し、異なる 2 つ以上の独立した台帳に分かれてしまった場合において、ひとつの枝で有効なトランザクションが他の枝でも有効となることを利用して、ある台帳上で有効な取引を他の台帳上でも実行することにより、送金者の意図しない台帳上で資産移動させてしまうことを、リプレイ攻撃といいます。bitFlyer引用

少し難しいですが、簡単に言うと、セキュリティ対策がされておらず、ハッキングされてしまう可能性が非常に高いということです。

SegWit2Xハードフォークでビットコインが2つになったときに、片方のビットコインの情報からもう片方のビットコインのセキュリティ情報が漏れ、そこをハッキングされてしまうのです。

例えば、SegWit2Xが中止にならずに発生していたとして、SegWit2Xのビットコインをもらえたとします。

そこであなたが、オリジナルのビットコインだけをだれかに送金した際に、その送金記録からあなたの手元に残っているSegWit2Xの秘密鍵を盗まれ、誰かに取られてしまう可能性があるのです。

このハッキングのことをリプレイアタックと言います

次に、SegWit2Xの実行を主導し、中止決定にも大きな力を持っていたマイナーたちについてご説明していきます!

マイナーがSegWit2X成功のカギを握る

今回のSegWit2Xのハードフォークではマイナーが鍵を握っていました。

そもそも「マイナーとなにか?」分かっている方も多いかと思いますが、重要な事なので始めに説明していきます。

ビットコインの取引を成立させる上で、必要不可欠なマイニングを行う人たちのことをマイナーといいます。

マイニングはビットコインの取引台帳に記録する作業のことを指し、この作業が一番早く終えた人がビットコインを得ることが出来るのです。

つまり、マイナーはビットコインから収益を得ており、かつビットコインの取引記録を手伝っているため、ビットコイン業界で大きな権力を持っているのです。

マイナーたちが、ビットコインのコア開発者たちが推し進める方向性に反発し、あえてリプレイアタック対策をせずに、SegWit2Xを強行。オリジナルのビットコインをSegWit2Xのビットコインに入れ替えてしまおうとしていたのです。

しかし、SegWit2Xによってビットコイン市場が混乱してしまう(リプレイアタック対策がされなければ、誰も送金できなくなる)ため、マイナーが身を引き、SegWit2Xを中止したというのが、今回のSegWit2X騒動の幕引きだったのです。

幕引きされたSegWit2Xですが、今回の発表はどのような内容だったのでしょうか?

好評されたSegWit2X中止に関する文章を見ていきましょう。

セグウィット2X中止、公表された文章

今回、SegWit2Xに関する声明を出したのは、仮想通貨取引所「BitGo」の代表取締役マイク:ベルシェ氏です。

Bitgoにはあまり馴染みがないかもしれませんが、中国の取引所の中では3本の指に入る程の巨大な取引所として有名です。

以下、メール文を引用

Mike Belshe mike at bitgo.com

Wed Nov 8 16:58:41 UTC 2017

The SegWit2X effort began in May with a simple purpose: to increase theblocksize and improve Bitcoin scalability. At the time, the Bitcoincommunity was in crisis after nearly 3 years of heavy debate, and consensusfor SegWit seemed like a distant mirage with only 30% support among miners.SegWit2X found its first success in August, as it broke the deadlock andquickly led to SegWit’s successful activation. Since that time, the teamshifted its efforts to phase two of the project – a 2MB blocksize increase.

Our goal has always been a smooth upgrade for Bitcoin. Although westrongly believe in the need for a larger blocksize, there is something webelieve is even more important: keeping the community together.Unfortunately, it is clear that we have not built sufficient consensus fora clean blocksize upgrade at this time. Continuing on the current pathcould divide the community and be a setback to Bitcoin’s growth. This wasnever the goal of SegWit2X.

As fees rise on the blockchain, we believe it will eventually becomeobvious that on-chain capacity increases are necessary. When that happens,we hope the community will come together and find a solution, possibly witha blocksize increase. Until then, we are suspending our plans for theupcoming 2MB upgrade.

We want to thank everyone that contributed constructively to SegWit2X,whether you were in favor or against. Your efforts are what makes Bitcoingreat. Bitcoin remains the greatest form of money mankind has ever seen,and we remain dedicated to protecting and fostering its growth worldwide.

Mike Belshe, Wences Casares, Jihan Wu, Jeff Garzik, Peter Smith and ErikVoorhees

*Mike Belshe*

*CEO, BitGo, Inc*

要約すると

1.SegWit2Xは中止にする

2.SegWit2Xの中止の理由2つ

 ・ビットコインコミュニティ内で、SegWit2Xに対する合意形成ができなかった

 ・ビットコインの分裂につながり、今後のビットコインの成長に悪影響を与えてしまう

3.今後、ブロックサイズを2MBにするアップデートを期待している

ということです。

マイナーたちにとってもSegWit2Xによりビットコインが分裂し、ビットコインコミュニティが対立した方が、メリットが小さいと考えたのでしょう。

では、このSegWit2Xの中止によって市場はどうなったのでしょうか?

今後のビットコイン市場の動向

SegWit2X直後、アルトコインの価格が急騰しました。これは、SegWit2Xビットコインをてにいれようと、アルトコインからビットコインに資産を移していた人たちが、アルトコインに戻っていったからですね。

では、これからどうなるのでしょうか?

世界最大の先物取引所CMEへのビットコイン先物上場が発表されたことによってビットコインの価格は下支されているため、しばらくはビットコインの価格は上向きでしょう

ビットコイン先物上場は、今年中に予定されており、今年一杯まではビットコイン市場は盛り上がると予想しています。

また、先物上場によって、ビットコイン投資信託の誕生が噂されており、まだまだビットコイン価格は伸びてきそうです!

一方で、アルトコインに関しては、今年中はビットコインの勢いになかなかついていけない状態が続きますが、ビットコイン市場の成長に引っ張られて、価格は上昇していく可能性が高いです。

今回はSegWit2Xが中止になりましたが、ビットコインの成長のためにはアップデートが必要になるため、開発者の人たちには頑張ってもらいたいですね。

【補足】ビットコインキャッシュが高騰そのわけとは

SegWit2Xの一連の騒動でビットコインキャッシュの価値が高騰してきました。

ですので、その理由やビットコインキャッシュが持っている性質について説明していきます。

そもそもビットコインキャッシュとは、ビットコインキャッシュとは2017年8月1日にビットコインがハードフォークによってできた新しいコインです。

取引量増加によって決済のスピード低下し、上記で説明したスケーラビリティ問題が発生しています。

ビットコインのブロックサイズは1MBでしたが、このビットコインキャッシュのブロックサイズは8倍の8MB と大きいブロックになりました。

これにより、単純に今までより8倍の取引が可能になりました。

さらにこのブロックサイズに制限はありません。ですから拡張するのに制限がなく大きくすることが可能なのです。

ここからはなぜビットコインキャッシュが高騰したのかを説明していきます。

なぜビットコインキャッシュが上がったのか?

中国最大手マイニンググループ「ViaBTC]はビットコインのハッシュレート(マイニングかかわる計算)の20%ほど握っていて、世界最大のマイニンググループです。

そのViaBTCを運営するジハン・ウーがツイッターでビットコインキャッシュについてツイートすることが多くなっています。

そのツイッターでのジハン・ウー氏の発言が最近のビットコインキャッシュ高騰に大きな影響を与えています。

そのツイートで「ビットコインキャッシュが本当のビットコイン」であるとツイッター上で発言しました。

これツイートを受けて多くの投資家がビットコインキャッシュに注目が集まり、ビットコインキャッシュの価格上昇に影響を与えることになったのです。