ICOバブル討論を終わらせるツイート

この数ヶ月間、仮想通貨コミュニティは「イニシャル・コイン・オファリング」(ICO)市場が大きなトレンドになってきているという現実を踏まえて、ICOが現在バブル期にあるかどうか、もしそうならばそのバブルがいつ弾けるかについて熱く議論してきた。

ICOバブル討論

仮想通貨コミュニティがICOについて初めて議論をしたのは、ICOがイーサリアムの取引手数料を引き上げ始めた時、そして1人の投資家が「Brave」というICOに参加するために2,200ドル(約24万円)を支払った時だ。

コミュニティの議論は「Bancor(バンコール)」の ICOが1億5000万ドル(162億円)を調達した時や「EOS(イーオーエス)」が1億8500万ドル(201億円)を調達した時。

そして「Tezos(テゾス)」というICOが2億3200万ドル(252億円)を調達した時に議論を重ねた。

ラッパーのThe Game(ゲーム氏)がパラゴンの「大麻革命」を奨励し、スーパースター選手であるFloyd Mayweather(フロイド・メイウェザー氏)とLuis Suarez(ルイス・スアレス氏)がStoxの予測市場を盛り上げた。

さらに伝説のボクサーがメイウェザー氏のことを“Floyd Crypto Mayweather.”(直訳:「フロイド・仮想通貨・メイウェザー」)と呼ぶようにツイッターでフォロワーにつぶやいた時も議論を繰り返した。

結局のところ、決定的な答えを導き出すのに必要なものは1つのつぶやきだけだった。

ICOバブル討論を終わらせるツイート

そのツイートは、海外セレブの代名詞ともいえるテレビ界のスター女優のParis Hilton(パリス・ヒルトン氏)によるものだった。

このツイートで、パリスはGravity4の「Lydian」トークンICOに「参加したい」と語った。同社によると、利用者はLydianトークンをデータ駆動型のデジタルマーケティングサービスと交換することができるという。

Perfumaniaで新しいフレグランスを発売するパリスは、論理的な次のステップとして“The World’s First A.I. Big Data Marketing Cloud.”(世界初の人工知能主導によるビッグデータマーケティングクラウド)と自称する会社が作ったERC20トークンへの投資を行っている。

翌朝、中国人民銀行は全国のICOを禁止する特別措置をとった。パリスは規制当局に一石を投じるツイートをしたのか?おそらくそうではない。その可能性は、そもそもパリスがICOに参加することより低いかもしれない。

パリスは中国のICO規制に対応して、「The Paris Coin Got It Right」という記事のリンクを張った。著者は彼女が証券取引法の解釈に従って「安全ではない」トークンを選んだと賞賛した。

ICO市場がバブル期にあるというサインを探している皆さん、こうした流れがその兆しです。

原典:「The Tweet That Ended the ICO Bubble Debate

ここまでの内容とまとめ

ブロックチェーンを開発・管理する必要なく、比較的容易に資金調達出来るICO。
今年に入り、ICO調達額は拡大しており確かに「ICOバブル」という表現がふさわしい感じがします。

ICO投資家がトークンの支払いに利用するのは、ビットコインやイーサリアムです。ICO市場の過熱と共に必然的に、そうしたメジャー通貨のトレードが盛んになり、価格も引き上げられるという構造になっています。

そんなICO市場をさらに盛り上げているのが、上記のようなセレブたちの存在です。

3日、パリス・ヒルトンがリディアンコインを支持するコメントをツイート。数時間後に中国人民銀行がICO規制について発表したため、宣伝効果としてのタイミングが良かったとは言えないものの注目が集まりました。

仮想通貨市場全般といえばそうですが、ICOは特に自己責任という側面が強く自由度が高いため、今後は中国に続き韓国でも規制の可能性があると言われています。またこうした流れは各国に波及していくと思われます。

ちなみに個人的には、各国が整備を万全に整えた後が優良なICOのスタートという感じがあります。主管する企業や団体からも情報開示が行われるでしょうし、一般投資家にとってはより安全で信頼が置ける取引ができるのではないかと期待しています。