中国のICO規制によりイーサリアム価格が暴落

中国のICO規制によりイーサリアム価格が暴落

イーサリアムの時価総額が1日で60億ドル(約660億円)急落したことから、8月20日以来初めてイーサリアム価格は300ドル(約33,000円)を下回り、295ドル(約32,450円)となった。9月4日に、イーサリアムの価格は回復の兆しを見せたのだが、その後また10%下がった。

先週、中国の中央銀行である中国人民銀行(Bank of People’s Bank of China)は、ICO(Initial Coin Offering)市場を規制し、進行中のICOキャンペーンを調査すると発表した。

一部の情報源によると、中国人民銀行は、既存のICOと今後開催されるすべてのICOを中断することを検討しており、金融機関の財務規制に基づいてICOの合法性を評価するということである。

9月4日、CNBC、ブルームバーグ、ロイターなどの大手出版社は、中国人民銀行がICOを違法と宣言し、中国市場の60に及ぶ大規模ICOプラットフォームに対する調査を正式に決定したことを明らかにした。

中国政府は、ICOを違法募金ツールと位置づけ、銀行にICO関連企業の事業運営から手を引くよう要請したというのである。

また、中国人民銀行は、中国証券監督管理委員会や中国銀行監督管理委員会、中国保険監督管理委員会と協力して、「ICO関連の活動」に参加している新興ICOキャンペーンや金融機関に対する警告として声明を発表している。

しかし、上海に本社を置くフィンテックのコンサルタント、Kapronasia 社のZennon Kapron(ゼノン・カプロン氏)取締役を含むいくつかのアナリストは、中国のICO市場の長期的な成長については楽観視している。

カプロン氏は、ロイターとのインタビューにおいて、ICOに対する最近の取り締まりが市場を規制するための第一歩だと考えていると述べている。

さらに、政府はICOの基本的な概念を理解するのに苦労しており、ICOの中断は一時的であると強調した。

「規制当局は、ICOとはいったい何か、リスクは何か、そしてどのように規制するのかについて苦労している。中国は米国やシンガポールと違いはないと言っているが、この問題を処理する方法がわかるまでは、先に進める必要がある。このような規制は一時的な対策であろうと思う。」

とカプロン氏は述べている。

ICOはイーサリアム最大のユースケースであり、2016年初頭から2年以内に16億ドル(約1,760億円)以上の投資を促進した。したがって、主要な政府機関や中国などのICOに対する否定的判決は、イーサリアム価格の下落を招く可能性が高い。

一方、投資家やトレーダーにとって、過去2日間の仮想通貨市場の調整を認めていることも同様に重要である。

ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、リップル、ネム、イーサリアムクラシックなどの世界中に利用者がいる取引所に掲載されている仮想通貨は、大きな価格下落に見舞われている。

一方で、イーサリアム財団が、イーサリアムユーザーと開発者のスケーラビリティとプライバシーを大幅に向上させる「メトロポリス」ハードフォークを実現させようと努力しているため、中期的にはイーサリアムの上昇の勢いは維持されるはずである。

さらに、イーサリアムの共同設立者Vitalik Buterin(ビタリック・ブテリン氏)とライトニングネットワークの開発者Joseph Poon(ジョセフ・プーン氏)が共同開発した”Plasma”のような様々な革新的がソリューションは、今月中にイーサリアムネットワークに統合される予定だ。

米国証券取引委員会(SEC)と中国人民銀行の発表は、世界のICO市場に大きな影響を与えた。

非現実的かつ不透明な規制を避けるために、香港やシンガポールに会社を設立したオーストラリアの新興企業があり、今後もブロックチェーンのプロジェクトやICO運営の新興企業は、フレンドリーな環境を提供するスイスや英国などに移動する可能性が高い。

原典:Ethereum Price Drops 10%, Potential Factors Include China ICO Ban

ここまでの内容と考察

9月に入り、ほとんどすべての仮想通貨の価格が大きく下落しています。

8月の仮想通貨市場は大きな盛り上がりを見せましたが、中国のICO規制問題から仮想通貨市場全体が調整局面ですね。

このまま大きく値を下げて、半値以下になってしまうかもしれないという心配があるかもしれません。ただ、長期的にみると、大きく価格が上昇すること可能性が大きいと思います。

中国の規制強化により、ビットコイン価格が大きく下落した今年1月から、9か月ほど経過し、ビットコイン価格は何倍にもなっています。それを考えると、いま仮想通貨を保持している方は、大きく構えて待っているほうが良いのではないでしょうか。

今回の下落でどこまで下がるかは不明ですが、規制が強くなるというのはさらなる仮想通貨の普及に向けての第一歩だとも考えられます。