独立に向けてカタルーニャが独自の仮想通貨発行を検討

独立に向けてカタルーニャが独自の仮想通貨発行を検討

スペインからの独立に向けて進んでいるカタルーニャは、エストニアと同様の「E-レジデンシー・プログラム」と独自の仮想通貨の発行を検討している。

エストニアのE-レジデンシー・プログラムでは、約1万2,000円の手数料を支払えば、顔写真の提出と指紋の登録のみで、「エストニアの電子居住者」になれる。電子居住者になることで、ICカードが配布され、会社設立や銀行口座の開設、金融取引、納税などができるようになる。

エストニアのE-レジデンシー・プログラムは、138カ国から2万人以上の申請があるという。

カタルーニャ政府は、このようなエストニアのE-レジデンシ―・プログラムに目をつけ、カタルーニャ総領事館に人員を派遣した。エストニアのE-レジデンシー・プログラムについてのノウハウを学んでいる。

この件に関して、カタルーニャの公式機関であるスマートカタルーニャのディレクターであるダニ・マルコ氏は、「エストニア人は経済発展のモデルを一から構築した」と語っている。

また、スペインの大手新聞「El Pais」によると、カタルーニャはスペインとは別の経済を作り出す計画を進めているという。その一貫としてエストニアのE-レジデンシー・プログラムと政府発行の仮想通貨「エストコイン」をロールモデルとしてプロジェクトを進めていくとのこと。

E-レジデンスの利点

El Paisは、「このプログラムには国境がなく、エストニアのノウハウを容易にカタルーニャに転用できる。加えて、カタルーニャには起業家の数が非常に多く、仮想通貨に関する仕事を行っている人が多い。」と報告している。

イーサリアムの創始者ヴィタリック氏が助言

カタルーニャのブロックチェーン専門家は、イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリン氏の助けを借りた。

ヴィタリック氏は、カタルーニャ政府に対して、ICOを行い、E-レジデンス・プログラムの資金調達と並行して機能する仮想通貨を提供するようアドバイス。

ヴィタリックの助言を借りることで、エストニアのE-レジデンス・プログラムのシステムは、中央銀行とは独立した経済社会を作り出すだろう。

エストニアは最近、政府発行の仮想通貨「エストコイン」を発表。このプロジェクトが順調に進行すれば、ICOを行った最初の国家になるだろう。

エストニアのE-レジデンシー・プログラム担当ディレクターのかスパー・コルジャス氏は、住民にエストコインを提供することを発表したブログを8月に掲載。エストコインはエストニア政府が管理するが、E-レジデントプログラムを通じて誰でも購入可能である。

エストニアの独自通貨に対する批判

一方で、エストニアのICO開始や政府主導の仮想通貨発行には大きな壁がある。

スウェーデンの中央銀行顧問は、ニュースメディア「Business Insider」に対し、エストニアの中央銀行と対話をし政府主導の仮想通貨を発行する予定がないことを確認したという。

また、これに関して、欧州中央銀行のマリオ・ドラギCEOは、「EU加盟国が、自国通貨を導入することは認められない」と述べるなど、エストニアの提案した仮想通貨を批判し、ビジネス・タイムズ紙に発表した。

しかし、コルジャスし氏は最近、ロンドンのブロックチェーンに関するイベントで、「エストコインはEU全体の仮想通貨として機能する可能性がある」と語るなど、エストコインに関して前向きな発言をしている。

現在、エストニアの電子投票システムには130万人の電子住民がいる。批判はあるものの、今後の進展に期待である。

原典:「Catalonia Considers Separate Digital Currency and E-Residency Program

ここまでの内容と考察

最近独立の賛否を問う国民投票が行われ、90%以上の独立賛成票が集まり、独立が決まったカタルーニャ州。スペインのバルセロナを中心としており、人口750万人のスペインのGDPの20%を占める大都市です。

サッカーの強豪チームとして知られるバルセロナもカタルーニャ州に位置しており、スペインのリーガエスパニョーラから脱退し、他国のリーグに参戦するかもしれない言われています

そんなカタルーニャが、エストニアが導入した電子居住システムを導入するという。これにより、カタルーニャには外国から多くの起業家が集まる可能性があります。

ただ、今回エストニアと異なる点が、「中央管理者」設置しない点である。エストニアでは中央銀行発行の仮想通貨であるエストコインに関する構想を行っているが、カタルーニャではそれがありませn。

これによって、カタルーニャが発行した仮想通貨が世界的に使用されていく可能性もあります。というのも、他国の政府が発行した通貨をその他の国が使用することは、権力をその国に握られてしまう可能性があるので、どの国もしたくありませんが、中央管理者がいないとなると、使いやすくなります。

ただ、中央管理者がいない仮想通貨としてビットコインなど他の通貨もありますから、今後どうなるかはわかりません。