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投資にかかる税金と節税対策を一から解説!
- 2017/12/15
- 投資のノウハウや税法

目次
投資関連の税金の税率と節税対策を大公開【2017年版】
投資を始めようと考えている人にとって、投資に関する税金は気になりますよね。特に、利益が出て場合、どれくらいの税金を支払うのかは収益計算の上でも非常に重要になってきます。
利益が出た場合、当然税金を支払うことになりますが、損をした場合は税金を支払う必要があるのでしょうか?また投資で節税することは可能なのでしょうか?
今回は、投資関連の税金の税率と節税対策を大公開【2017年版】についてご説明させて頂きます。投資の税金に関することから、確定申告の手順まで一挙大公開させて頂きます。投資初心者の方、投資の税金についてお知りになりたい方必見です。
収益が20万円を超えると税金が発生する?
まず初めに、どのくらいの収益で課税されるのかについて見ていきましょう。
課税対象となる収益額は、以下のように職の有無によって異なります。
・有職者は20万円以上の収益で課税
・無職者は38万円以上の収益で課税
年間収入額以前に、職の有無によって課税対象額が異なるので注意しましょう。
そして株式や債券、投資信託といった投資商品で資産運用を行う場合は、証券会社の口座を開設することになります。証券会社の口座には「源泉徴収ありの特定口座」・「源泉徴収なしの特定口座」・「一般口座」の3つの種類があり、口座タイプによっても税金額が異なります。
源泉徴収ありの特定口座
源泉徴収ありの特定口座は「年間取引報告書」を証券会社が作成してくれます。
さらに年間の収入からすでに源泉徴収分を差し引いてくれるので、年間利益が20万円を超えていても確定申告の必要がありません。個人からの確定申告は不要です。
しかしこちらの口座タイプは、年間収益が20万円以下であっても税金が勝手に差し引かれてしまうので、注意が必要ですね。
源泉徴収なしの特定口座
源泉徴収なしの特定口座は年間収益が20万円以下の場合、税金が勝手に差し引かれるということがありません。
ただ20万円を超えると確定申告の必要があり、後から税金を納めなければいけません。
一般口座
一般口座は20万円以下の年間利益は丸々自分の利益になり、確定申告の必要もありません。
ただ、年間取引報告書は自分で作成しなければいけないので、少し手間がかかってしまうかもしれません。
ここまで見てきた3つの口座タイプの特徴などをわかりやすいように一覧にまとめてみました。
証券口座の種類 | 内容 | 年間の損益計算 | 税金の支払い |
---|---|---|---|
源泉徴収ありの特定口座 | 税金額が自動で差し引かれる | 証券会社が計算 | 20万円以下でも支払う |
源泉徴収なしの特定口座 | 税金額が自動で引き落とされないが 年間取引報告書を作成してくれる |
証券会社が計算 | 20万円以下なら支払う必要がない |
一般口座 | 税金額の計算や売買記録は自分で行う | 自分で計算 | 20万円以下なら支払う必要がない |
このように一覧にするとそれぞれの特徴がよりはっきりとわかりますね。株式や投資信託といった投資商品を行っている方はしっかり把握しておきましょう。
投資にかかわる税率は原則20パーセント
次に投資にかかる税率について見ていきましょう。
原則的に投資には「総合課税」、「申告分離課税」、「源泉分離課税」の3種類の課税方法がありますので、一覧にしてみてみましょう。
税金の種類 | 内容 |
---|---|
総合課税 | 他の所得と合算した年間総所得が課税対象 |
申告分離課税 | 他の所得と合算せずに、一律20.315% |
源泉分離課税 | 他の所得と分離して、所得を支払う者(会社)などが支払いの際に、一定の税率で所得税を源泉徴収して納税する |
国内でも人気がある株式投資やFX、投資信託はほとんど申告分離課税ですので、基本的に税率は20.315%になります。
ただFXには国内のFX業者と海外のFX業者があり、国内のFX業者で得た利益に関しては「総合課税」が適応されます。
一方海外のFX業者で得た利益に対しては「総合課税」が適応されます。総合課税は自分が1年間で得た全ての所得を合算し、その所得に応じて課税金額が変わります。
課税対象の所得金額(課税所得額) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
このように総合課税だと年間収益によって税金額が異なりますので、注意しておきましょう。
税金の控除額と課税金額の計算方法
投資の税金の控除額と課税金額の計算方法について、投資法順に並べて進めていきます。
投資の税金控除額と課税金額の計算方法
確定申告をする際に、投資で得た損益を他の収入や支出と合わせて申告する場合、税金控除額と税金の課税金額を計算する必要があります。
例えば、株式で年間100万円もの投資利益を得たとすると、一律20.315%の税金(20万3150円)が課税され結局の手取りは70万9685円になります。
この時の年間100万円の課税対象の利益とは、どのように計算するのかをご説明させて頂きます。
計算式)
総収入額(譲渡価格)-必要経費(取得費+委託手数料など)=譲渡所得金額
以上が株の所得金額の計算になります。取得費とは、購入価格となりますが株式の場合、2回以上に渡って購入している場合は平均株価を用いて計算します。
取得費の例
買付け日時 | 株価 | 株数 | 取得価格 |
---|---|---|---|
平成27年2月 | 1,000円 | 100株 | 10万円 |
平成27年5月 | 1,500円 | 200株 | 30万円 |
平成27年6月 | 800円 | 500株 | 40万円 |
(10万円+30万円+40万円)÷(100株+200株+500株)=1,000円(1株あたりの金額)
1,000円×譲渡株数=取得費になりますのでこの場合は、80万円になります。
以上が課税金額の計算方法になります。続いて、投資の控除についてご説明させて頂きます。株式や投資信託では、年間の売買で損失が出た場合、翌年の3年間、繰越控除が可能です。
売買損益の3年間繰越控除の例
平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | |
---|---|---|---|---|---|
年間損益 | -600万円 | +300万円 | +200万円 | +100万円 | +50万円 |
前年度からの繰越損額 | なし | -600万円 | -300万円 | -100万円 | 0円 |
翌年度への繰越損額 | -600万円 | -300万円 | -100万円 | 0円 | 0円 |
課税対象額 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 50円 |
このように、株式では最大3年間、確定申告をすると損失を繰り越すことができます。この制度を利用しないと、600万円損をした上に平成26年~平成28年の間に計1,218,900円もの税金を支払わなければならなくなります。この額は大きいですよね。
計算した利益を申告する手順と申告時の注意点
投資関連の利益を計算して、申告する場合の手順と申告時の注意点についてご説明させていたただきます。
事前に準備しておくもの
・印鑑
・給与所得、退職所得、公的年金などの源泉徴収票
・特定口座年間取引報告書
・取引報告書もしくは1年間の取引損益がわかるもの
・個人番号及び本人確認書類
必要書類が準備できましたら、続いて確定申告書を作成します。管轄の税務署に行くか国税庁のサイトから申告書を入手することができます。
必要書類と確定申告書がそろいましたら、最寄りの税務署にいくかオンライン「e-tax」から手続きを取ることができます。申告が初めての方は、直接税務署に出向いた方が良いかもしれません。
申告時の注意点
・必要書類は全てそろっているか
・記入ミス、記入漏れがないか
以上の点に注意をして確定申告を行いましょう。
節税対策のコツはNISAと損益通算の利用
折角、投資で利益が出ても20%もの税金がかかってしまいます。100万円の投資利益が出ても、20万円は税金としてなくなるわけです。
そこで、2つの合法的な投資の節税方法をご紹介させて頂きます。
①NISAの活用
②損益通算
以上になります。①のNISAから詳しくご説明させて頂きます。
①NISAの活用
NISAとは、「少額投資非課税制度」のことです。NISA口座で購入した株や投資信託の売買益や配当金などが非課税になる制度のことです。
NISA口座の概要
・NISA口座を使える人 日本に住む20歳以上の人
・対象商品:上場株式、投資信託、海外株式・海外ETFなどの配当や売買益
・非課税金額:年間120万円
・非課税期間:投資した年から最長5年間
・口座を開設出来る期間 2014年~2023年
・途中売却:可能
・損益通算:特定口座との損益通算は不可
・口座開設数:1人につき1口座
以上がNISA口座の概要になります。非課税投資総額は、最大600万円(120万円×5年)で、5年の非課税期間が終了すると保有している金融商品は、翌年に設定される非課税枠に移管することも可能です。
例えば、NISA口座で1株100円の株を360万円分購入したとします。36,000株を保有し、配当が1株あたり10円あったとすると、年間36万円分の配当金を得ることができます。
通常、36万円の配当に対して20.315%の税金がかかるため73,134円もの税金がひかれますがNISA口座なら36万円分まるまる配当がもらえることになります。
そして、株式の投資の売買益が年間100万円あったとすると、通常は年間203,150円もの税金を払いますがNISA口座では100万円全て利益として得ることができます。
総額で何と276,284円もの節税ができるというわけで、投資効率がアップすることになります。
②損益通算
損益通算とは、1年間の投資の利益と損失を合算して所得金額を出す方法になります。投資の損益通算すると節税効果があります。
投資における損益通算については、損益通算ができる場合とできない場合があります。投資の金融商品は2つに分類され、その分類内では損益通算が可能です。
いかがでしたでしょうか。この記事が皆様の一助になれば幸いです。